これから3DCGを仕事として、始めたいと思っている人は沢山いると思います。ただ、始める人もやめていく人も非常に多い業界でもあります。やめていく理由は色々あると思いますが、続けることが難しくなってしまう要因と理由、また、この業界で活躍している人の特徴を紹介していきたいと思います。
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どうしても残業が多くなりがち
ある程度予想がつく人も多いと思いますが、この仕事は残業になることは多いです。その理由はいくつかあります。
- 作業自体が時間かかる
- 納期に対して作業量が多すぎる場合がある
- リテイクでやり直しがかさむ
- ソフトのエラーでどうしても上手くいかない
作業自体が時間かかる
モデリング・UV展開・テクスチャリング・セットアップ・アニメーションなど、制作の工程一つ一つが時間のかかる作業です。手数が多いというのもありますが、イメージ通りのものを作るというのが1番時間がかかります。
当たり前ですが、制作に入る前に必ず「こういうイメージで作ってください」という要望があります。それはハッキリわかり易いもの、ぼやっと曖昧なもの、お任せしますと投げられる場合などがあります。どれにしろクライアントの方には「こんな感じがいいな」というイメージがあり、制作側はそのイメージを汲み取り再現しなければなりません。
では、そのイメージを汲み取れたとして、それをどう表現するのかという課題も出てきます。明確な参考資料をもらえるときもあれば、自分で探さないといけない場合もあります。自分で探す場合は、時間もかかりますし、もしくは、数パターン作成しクライアントチェックを受けるということもあります。
納期に対して作業量が多すぎる場合がある
いつもそうというわけではありませんが、作業量が多すぎるという場合はあります。納期までのスケジュールを考えるとき、完成までの作業工程とそれにかかる時間・途中のクライアントチェックと修正対応の時間・いろんなことに対応するための予備日などを作業に使える日数に割り振ります。
私がこれまでやったプロジェクトの中で、一番大変だったプロジェクトは、キャラクター数体のデザインからモデル制作、アニメーションまでを一人で行わないといけないというもので、当初の納期は1ヶ月でした。そのとき立てたスケジュールが、「全ての工程がスムーズに進み、クライアントチェックが全て1発OKなら終わるかも」というもので、まあ、当然無理でしたね。毎日終電まで作業して、休日出勤も終わりません。最終的に納期はだいぶ延びましたが、数ヶ月は毎日終電という日が続きました。
リテイクでやり直しがかさむ
作ったものが全て1発OKなら問題はないのですが、そんなことはほぼないですね。時間かけてがんばって作っても、イメージと違うからやり直し。そこから支持通り修正しても、ちょっとイメージからズレてるからやり直し。そうして作業時間が延びることは多々あります。やり直しというのは、それまでにかけた時間が何もしてなかったということと同じになります。これが一番の残業要因であり、無理なくスケジュールを立てるなら、当然組み込まないといけない項目です。
ソフトのエラーでどうしても上手くいかない
例えば、制作で使われる3DCGソフトMAYA。モデリングからレンダリングまで総合的に行うことができます。ただバグは多いです。今まで出来てた作業が突然出来なくなったり、まえぶれなく突然ソフトが落ちたりします。そうなるとエラーの解決や消えてしまったデータ分のやり直しが発生し、時間をくわれます。
自分の能力について自信を無くしてしまう
この仕事はセンスに左右される部分が多く、コツがつかめないとなかなか上手くいかないものです。時間をかけて自分のセンスで作成し、チェックに出したものが、全然ダメと否定されれば精神的ダメージは非常に大きいです。それは時に人格を否定されたような衝撃を受けることもあります。
これを乗り越えていくためには、少しでも早くコツをつかむか、色んな意味で開き直れる精神力が必要かもしれません。
こんな人がこの仕事が向いているかも!
確かにこの仕事は大変な仕事ですが、悪いことだけではないし、長くこの仕事を続けている人も沢山います。私が見てきた中で向いていると思えるのはこんな人です。
- 精神力と体力に自身がある⇒体調をくずしてやめていく人は結構います。
- 自分の好きな作品に関われるだけでやりがいを感じられる⇒作品に対する愛情が強い人はいいものを作る。仕事が辛くても耐えられる。
- キャラクターに愛情が強い⇒上と同じ
- とにかくクリエイティブな仕事が好き⇒作品やキャラクターに思い入れは薄いけど、作ること自体が好き(私はこのタイプ)。
- 観察力がある⇒モデラーやアニメーターはこれが命。
- 勉強熱心⇒覚えないといけないことは沢山あるし、日々技術は進歩するから。
- 仕事大好き⇒プライベートより、仕事が中心になるから。
- クオリティに対するこだわりが強い⇒いいものが作れるというのもありますが、手を抜いても仕事は終わらないので。
- コツコツとした仕事が苦じゃない⇒ただ、これが苦な人は効率的な作業方法をさがすことで、好転する。
だいぶネガティブなことを書きましたが・・・
好きな人にとっては、大変やりがいのある仕事です。また、言ってしまえば楽でやりがいのある仕事というのも中々ないと思います。大変そうだからやめとくではなく、事前に内情を知り、覚悟を決めて挑んでみてはどうでしょうか。