ここまででジョイントの位置・方向付けについて説明してきました。人型キャラクターはこれらのルールに加え、解剖学的な知識や命名規則などが入ってきます。個人制作にしろ仕事にしろ人型キャラクターは多く出てくるので、これから説明する内容を是非覚えていってください。
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人型キャラクターの命名規則
人型キャラクターのジョイント構造はどれもだいたい共通しており、その構造を基に様々なキャラクターの骨入れ(ジョイント設定)ができます。また、ジョイントには命名規則があります。これはMayaやMotionBuilderで自動コントロールリグを作成するのに役立ったり、その他ツールの実行に使われたりします。
実際に名前をつける際は、上記の名前の前に「左右」を意味する接頭語をつけます。例えば、
左腕ならLeftUpperArmまたはL_UpperArm、右ならRightUpperArm、R_UpperArmなどです。
これらの接頭語をつけることで、左半身のジョイントを作成し、[ジョイントのミラー]というツールで右半身に同じ構造のジョイントを自動生成することができます。
解剖学的なジョイント位置と方向付け
人型キャラクター方向付けの基本的な方針
ここではジョイント方向付けの基本的な方針として、全てのジョイントを選択し回転させたときに体育座りのようなポーズになるようにしていきます。
それには以下のような目的があります。
- 方向付け時にいちいち悩まなくて済む
- ジョイント位置・命名規則に加え、方向も合わせておけばモーションの流用がしやすい。
- 複数人で各キャラクターをリギングする場合はそういった決まりがあった方が統一しやすい。
- ジョイントでの数値編集がやり易くなる。
もちろんどんな決まりでも構いません。
腰ジョイントHip
このジョイントは構造の中でもトップあたるジョイントで、この腰ジョイントを基点にキャラクターを移動させます。ジョイントの位置は厳密ではありませんが大体腰の中心に配置します。ジョイントの方向はX軸をSpineに向け、Y軸を背中の方に向けます。
背骨ジョイントSpine
SpineはHipから伸び、胴を通るジョイントです。側面から見て気持ち後ろに配置します。HipからSpine1、Spine2、Spine3・・・と続き、それぞれX軸は子ジョイントに向け、Y軸は背中側に向けます。
首ジョイントNeck
NeckはSpineに続き、首と胴体の付け根に配置します。前後左右に曲がるので中心に首の中心に置きます。ジョイント方向はSpineと同じです。
頭ジョイントHead
Headはちょうど耳の下あたりに配置します。これは実際の人間の背骨がこのあたりから生えているからです。ジョイント方向はNeckに続いて同じです。
肩ジョイントShoulder
Spine3(末端のSpine)の下階層にし、鎖骨の付け根に配置します。肩は鎖骨を基点に回転し、持ち上げたり前後にうごかします。ジョイント方向はX軸を子スケルトン、Y軸を背中側に向けます。
上腕ジョイントUpperArm
ジョイントの位置はちょうど脇の上に配置します。この位置がずれると元より肩幅が変わってしまいます。ジョイント方向はY軸を後ろに向け、Z軸で前後、Y軸で上下に曲がるようにします。
肘ジョイントForearm
基本的には肘関節の中心に配置します。関節を曲げたときの外側に位置をよせることで肘の鋭角さを出しやすくなります。また、後々手にIKリグを設定するということを考えると若干曲がっている状態でバインドするといいでしょう。
手首ジョイントHand
Handジョイントは手首の中心に配置します。UpperArmと同様に割と自由に曲がる関節なので、Y軸とZ軸を関節に対して水平垂直になるようにします。X軸は子スケルトンに向けるのではなく、[回転]、[ジョイント方向]をすべて0にし真っ直ぐに設定します。肘を曲げて設定した場合は、その分反対に曲げて調整します。
指ジョイントThumb(親指)・Index(人差し指)・Middle(中指)・Ring(薬指)・Pinky(小指)
指ジョイントにはいくつかポイントがあります。
- Index、Middle、Ring、Pinkyの付け根のジョイントは指の股より少し後ろ。
- 各ジョイントの位置(長さ)はグーのポーズを作ったときに自然な形になるようにする(メッシュの形状に惑わされない)。
- 各指の形状に合わせてZ軸で回転できるように方向付けする。付け根のジョイント以外X軸Y軸のオフセット(ジョイント方向)は0
- Index、Middle、Ring、Pinkyはグーにしたときに中心に集束し、指の間に隙間のないキレイな形になるように方向付けする。
- グーにしたときの手の甲の丸まりを表現するために、Ring、PinkyはHandジョイントとの間にジョイントを追加する。
脚ジョイントUpperLeg
UpperLegの位置は、人体の骨構造から考えて股の位置より少し上です。前後左右の位置はカカトから垂直に伸ばした位置にします。方向についてもY軸が後ろに向くように設定します。
膝ジョイントForeleg
考え方は肘ジョイントに似ています。ジョイントは膝を曲げた際の外側に寄せ、Y軸も外側に向けます。
足首ジョイントFoot
クルブシの位置にジョイントを配置します。Y軸は前方に向けます。
爪先ジョイントToe
足の指1本1本まで動かすということもほぼないので、ジョイント1本で表現します。ジョイントの位置は指の股より少し後ろです。